ウイルス
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総説
新型インフルエンザ ―臨床の立場から―
工藤 宏一郎間辺 利江
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2010 年 60 巻 1 号 p. 9-16

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抄録
 2010年4月,メキシコ発の新型インフルエンザウイルス(パンデミック(H1N1)2009)感染の発生が報告され瞬く間に地球規模で拡大,発生国メキシコでは多数の死亡例も報告された. 折しもアジア諸国を中心に発生している致死率の高い高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)がパンデミックに繋がるのでは,という懸念が世界的にも増大していた時であった.パンデミック H1N1 2009の発生を受け,発生国メキシコの臨床的実情を調査する機会も得,現地の医療機関と共同臨床研究を実施した.これらから,パンデミック H1N1 2009とH5N1,スペインインフルエンザ等のこれまでのインフルエンザパンデミックとの病態,重症化因子を対比したところ,インフルエンザの感染拡大,重症化,死亡には,ホスト,ウイルス間の相互関係が重要であること,社会・疫学的にはグローバルな疾患にも関わらずリージョナル(地域的)な側面が強いことを確認した.
 これらを踏まえ,パンデミック H1N1 2009の病態・臨床像と,重症・重篤・死亡に影響する医学的因子,社会的因子を述べる.
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© 2010 日本ウイルス学会
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