抄録
初感染により水痘,再活性化により帯状疱疹の原因となる水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)は,単純ヘルペスウイルス(HSV)と同じアルファヘルペス亜科に分類される.遺伝子レベルではHSVと高い相同性を有する一方,病態と関連した生物学的な挙動という観点からみると,HSVとの様々な違いが容易に指摘できる.本稿では,1)感染動物モデルなどの研究のアプローチ,2)上気道粘膜への感染からT細胞を介して皮膚での発疹形成に至る過程,3)VZVの受容体,4)個体での増殖や潜伏感染成立に関与する遺伝子群の機能,5)宿主免疫反応とVZVの回避機構,6)水痘ワクチンと抗ウイルス薬について,最近の知見を概説する.