日本獣医師会雑誌
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小動物臨床関連部門
バベシア症に罹患した生後5週齢の子犬に対してアドバコン・プログアニル合剤で治療を試みた1例
岩永 朋子田中 功木下 あゆみ遠藤 泰之
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2022 年 75 巻 6 号 p. e134-e138

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抄録

貧血,血小板減少症,脾腫を呈して来院した5週齢のビーグル犬の子犬において,PCR検査にてBabesia gibsoni 由来遺伝子が検出されたため,アドバコン・プログアニル合剤による治療を行った.アドバコンとして20mg/kg,1日2回,10日間の投与を行ったところ,副作用の発現はなく貧血の改善が認められた.感染経路を調査したところ,猟犬である症例の母犬からはB. gibsoni 由来遺伝子は検出されなかったが,マダニ予防が不完全であったことや,同居犬にバベシア感染症がいたことから,母犬はPCR検査で偽陰性を示した不顕性感染であった可能性が高く,感染経路は垂直感染が疑われた.本症例は,若齢犬のB. gibsoni 感染症の急性発症例に対して,アドバコン・プログアニル合剤で治療を試みたわが国で初めての報告となる.

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