ウイルス
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平成22年杉浦賞論文
ウイルスベクターの開発とウイルスの感染機構解析への応用
谷 英樹
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2011 年 61 巻 1 号 p. 99-108

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抄録

 ウイルスは特定の生物の細胞内でのみ増殖可能な偏性細胞内寄生性微生物の一つとして定義付けられている.この性質を巧みに利用し開発されたウイルスベクターは,医学生物学の基礎研究から遺伝子治療への応用まで広範な分野で利用されている.私たちの研究グループではこれまでに,バキュロウイルスと水疱性口内炎ウイルス(VSV)の特徴を生かしたベクターの開発に取り組んできた.バキュロウイルスを用いた哺乳動物細胞用ベクターの開発により,従来のバキュロウイルスベクターより効率良く細胞や個体へ遺伝子導入することが可能となった.また,VSVを用いて,C型肝炎ウイルス,日本脳炎ウイルス,バキュロウイルス等のエンベロープ蛋白質を搭載したシュードタイプウイルスおよびこれらの遺伝子をVSVのゲノムに組み込んだ組換えVSVを作製し,エンベロープ蛋白質の性状および細胞内への侵入機構を解析した.

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© 2011 日本ウイルス学会
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