ウイルス
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特集:Negative Strand RNA Virusのウイルス学
ラブドウイルス
西園 晃山田 健太郎
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2012 年 62 巻 2 号 p. 183-196

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抄録
 ラブドウイルス科のウイルス粒子形態は特徴的な砲弾型もしくは桿菌型を呈し,そのゲノムは非分節一本鎖マイナス鎖のRNAで,その全長は約11~16 kbである.ラブドウイルスはRNAウイルスの中でもその種類および多様性に富むウイルスで,哺乳類から植物に至るまで実に幅広い宿主から分離されている.ラブドウイルスのゲノムには共通して3’端より順番に5つの構造蛋白質遺伝子(N,P,M,GおよびL蛋白質遺伝子)がコードされており,加えてウイルス種によってはアクセサリー遺伝子が認められる.ラブドウイルス科のウイルスに関するウイルス学的知見のほとんどは,この科を代表する2つのウイルス,vesicular stomatitis virus(VSV : 水泡口炎ウイルス)とrabies virus (RABV : 狂犬病ウイルス)に関する研究から得られたものである.なかでもRABVを含むリッサウイルス属のウイルスは,病獣動物からの咬傷を介して哺乳動物や翼手目類に致死的脳炎である狂犬病を発症させる原因ウイルスである.この総説では,これら2つのウイルスに関する最新知見を含めたウイルス学的特徴について述べる.
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© 2012 日本ウイルス学会
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