ウイルス
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平成24年杉浦賞論文
抗エンテロウイルス化合物群の探索とそのウイルス感染阻害機構の解析て
有田 峰太郎
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2013 年 63 巻 1 号 p. 93-102

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抄録
 ポリオウイルス(PV)は,1988年からWHOによる全世界的根絶計画が進められている.根絶の終盤で抗ウイルス剤は重要な役割を果たすことが期待されている.PVの複製過程を阻害する細胞毒性の低い化合物を同定するために,我々は化合物ライブラリーから抗PV化合物を同定してきた.興味深いことに,同定された化合物の多くは,既知の抗ピコルナウイルス化合物enviroximeと同じ耐性変異を誘導した(enviroxime様化合物と名付けた).近年,宿主のホスファチジルイノシトール4-キナーゼPI4KBの阻害剤PIK93が抗エンテロウイルス活性を持つことが報告され(Hsu et al., Cell 141:799-811),またPIK93がenviroxime様化合物であることが明らかにされた.我々は新たに同定したenviroxime様化合物T-00127-HEV1が特異的なPI4KB阻害剤であり,PI4KBがエンテロウイルスの複製に特異的な宿主因子であることを明らかにした.抗エンテロウイルス化合物の解析により,感染の予防および治療に有効なターゲットとなりうる新たな宿主因子が同定されることが期待される.
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© 2013 日本ウイルス学会
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