ウイルス
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特集:Retrovirusのウイルス学
HIVアクセサリータンパク質の機能
北村 紳悟岩谷 靖雅
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2013 年 63 巻 2 号 p. 187-198

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抄録
 ヒト免疫不全ウイルス (HIV: Human Immunodeficiency Virus) は,ウイルス粒子の構造タンパク質(GagとEnv),複製のための酵素 (Pol),遺伝子発現調節因子(TatとRev)のほかに,アクセサリーと呼ばれるタンパク質(Vif,Vpu,Vpr,Vpx,Nef)の遺伝子をコードする.これらアクセサリータンパク質は,細胞種によってウイルスの増殖に非必須であったり,HIV-1 と HIV-2 間において保存されていないものが存在することから,その機能や必然性は断片的にしか明らかとなっていなかった.しかし,宿主防御因子である APOBEC3G タンパク質と,その解除因子としての Vif の機能の発見から状況は一変した.本来ヒトの細胞には外来ウイルスの増殖を阻止する細胞内システム(自然免疫など)が存在し,一方,ウイルスは抗ウイルスシステムを解除するためにアクセサリータンパク質を獲得したのではないかという知見が次々と出されてきた.現在までに,Vif-APOBEC3 に加え,Vpu- BST-2/TetherinあるいはVpx-SAMHD1の関係が明らかにされてきた.本稿では,宿主防御機構の対抗因子としての視点から,HIVアクセサリータンパク質の特徴と機能について紹介する.
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© 2013 日本ウイルス学会
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