ウイルス
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特集:Retrovirusのウイルス学
抗HIV治療薬
鯉渕 智彦
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2013 年 63 巻 2 号 p. 199-208

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抄録
 抗HIV治療薬は,逆転写酵素阻害薬,プロテアーゼ阻害薬(PI: protease inhibitor),インテグラーゼ阻害薬(INSTI: integrase strand transfer inhibitor),侵入阻害薬(CCR5阻害薬)に大別され,さらに逆転写酵素阻害薬はヌクレオシド系(NRTI: nucleoside/nucleotide reverse transcriptase inhibitor)と非ヌクレオシド系(NNRTI: non-nucleoside reverse transcriptase inhibitor) に分けられる.異なる作用機序の薬剤を適切に組み合わせれば長期的にHIVの増殖を抑制できる.近年の抗HIV薬は強力かつ副作用も少ないため,CD4数に関わらず無症候期の早い時期から治療を開始することが世界的に推奨されている.しかし,現在の治療薬では潜伏感染状態にあるHIVを排除することはできず,生涯に渡る治療継続が必要である.HIV reservoirと呼ばれるこれらの潜伏感染細胞を標的とした治療法など,新たな治療戦略が求められている.
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© 2013 日本ウイルス学会
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