Epstein-Barr (EB)ウイルスはガンマヘルペスウイルスに分類されるヒト腫瘍ウイルスである.進化学的観点からみても長期にわたって宿主と共存してきた,高度な生存戦略を備えたウイルスであり,複雑,巧妙な感染様式をとることで自身の維持,拡大を図っている.その感染様式は,潜伏感染と溶解感染のふたつに分けられ,潜伏感染から溶解感染への移行を再活性化と呼ぶ.さらに潜伏感染は主に0-IIIの4つに分類される.このような感染様式の相違や変遷は,ウイルスの維持拡大のみならずがん化のプロセスや臨床病態とも深く関わっており,その理解は重要である.本稿では,EBウイルスによる増殖性疾患の発生,維持,進展の機序について,我々の感染様式に関する研究成果を交えながら紹介したい.