ウイルス
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総説
海洋真核性微細藻類ウイルスの現状と生態学的研究
木村 圭外丸 裕司
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2015 年 65 巻 1 号 p. 37-46

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抄録
 すべての生物の源である海,その中にはおびただしい量のウイルスが存在している.これらのウイルスは海洋の様々な生物に感染するが,その中には微細藻類に感染するものもある.1980年代に「海洋微細藻類に感染するウイルス」の存在が知られ,それ以降,これら微細藻類ウイルスの情報が蓄積されてきた.そして,これまでに40種以上の微細藻類ウイルスが発見され,それぞれが多様なウイルス群に分類されることが分かってきた.また一方で,海洋ウイルスの多くが海洋バクテリアに感染するファージであるものの,海洋微細藻類に感染するウイルスの量はそれに次ぐ量であるとも言われ,ウイルス自体のバイオマス,そして海洋微細藻類の生態や進化に対して重要な働きを持っていると考えられてきた.藻類は地球上の一次生産の半分を担うとも言われており,微細藻類に感染するウイルスが,その宿主個体群の動態に及ぼす影響は,生物生産の観点からも無視できない.そのため,生態学的な視点での微細藻類ウイルスの研究が小規模ながらも地道に行われ,徐々に環境中におけるウイルスの役割が理解されつつある.一方,微細藻類ウイルスの感染に関わる分子機構については,ほとんど理解されていないという課題もあり,両者の生態学的関係を理解する為の,分子細胞学的研究基盤の強化が強く望まれている.本総説では,これまでの海洋における微細藻類ウイルス研究についての概要を報告し,そして今,求められている課題について考えてみたい.
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© 2015 日本ウイルス学会
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