ウイルス
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特集:昆虫ウイルスの最前線
バキュロウイルスの宿主制御遺伝子
勝間 進
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 68 巻 2 号 p. 147-156

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抄録
 昆虫ウイルスの一種であるバキュロウイルスは大型のDNAウイルスであり,80–180 kbpの環状2本鎖DNAをゲノムとして持つ.古くから微生物農薬として利用されてきたが,1980年代半ばからその強力なポリヘドリンプロモーターを利用した外来タンパク質発現系(バキュロウイルスベクター)としても広く用いられるようになった.一方,このような産業的な研究と平行して,全ゲノム解読,および個々の遺伝子の機能解析が,様々なバキュロウイルスにおいて急速に進められた.その結果,バキュロウイルスは自身の増殖,複製に必須な遺伝子のほかに多くの補助遺伝子を持ち,それらが宿主の行動,細胞死,脱皮・変態といった高次の宿主制御において重要な役割を果たしていることが明らかになった.本稿では,私たちのグループの研究結果を中心に,宿主制御に関与するバキュロウイルス遺伝子の機能を概説する.
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© 2019 日本ウイルス学会
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