ウイルス
Online ISSN : 1884-3433
Print ISSN : 0042-6857
ISSN-L : 0042-6857
特集:新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 臨床、治療法等
SARS-CoV-2に対する感染増強抗体
ジャーナル フリー

2021 年 71 巻 2 号 p. 169-174

詳細
抄録
SARS-CoV-2のスパイクタンパク質の受容体結合ドメインに対する抗体は,中和抗体として感染防御に重要な機能を担っている.ところが,スパイクタンパク質のN末端ドメインの特定の部位を認識する抗体は,ACE2と結合性が高くなる開いた受容体結合ドメインが誘導し,SARS-CoV-2の感染性を高める.さらに,この感染増強抗体が存在すると中和抗体の中和能が低下する.従って,新型コロナウイルスに対する抗体応答を考える場合,中和抗体ばかりでなく,感染増強抗体とのバランスを考慮する必要があることが明らかになってきた.そこで,本稿では,これまでに判明してきた感染増強抗体について紹介する.
前の記事 次の記事
feedback
Top