抄録
BSL-4施設は,ヒトに対する病原性が高く,予防法や治療法のない微生物を研究するために必要な施設である.現在,世界60カ所以上あるBSL-4施設では,陽圧防護服を用いたスーツ型の施設が主流となっている.2021年7月に,本邦初のスーツ型BSL-4施設が長崎大学に建設された.陽圧防護服は,実験従事者を病原体から防護するための一次バリアとして重要であるが,その選定過程の詳細はほとんど明らかになっていない.本稿では,長崎大BSL-4施設で使用する陽圧防護服の選定過程について述べるとともに,独自に設計された国産の新しい陽圧防護服(PS-790BSL4-AL)について紹介する.