ウイルス
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総説
ランピースキン病
渡邉 瑞季生澤 充隆國保 健浩森岡 一樹
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2025 年 75 巻 1 号 p. 1-12

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抄録
ランピースキン病(Lumpy Skin Disease, LSD)は,ランピースキン病ウイルス(LSD virus, LSDV)によって引き起こされる牛および水牛のウイルス感染症である.LSDを発症した動物では,全身,時には局所の皮膚に多数の結節が形成されるとともに,発熱,乳量の低下,流産などの臨床症状が認められる.皮膚の結節病変や,壊死して脱落した組織(sit-fast)には極めて大量のウイルスが含まれること,また環境中でのウイルスの安定性が高いことから,これらは水平伝播の重要な感染源となる.ただし,LSDVの感染は,主にヌカカ,サシバエ,ダニなどの吸血性の節足動物(ベクター)の咬刺によるため,本病の農場への侵入防止にはこれらのベクター防除対策が重要になる.予防には弱毒生ワクチンが有効であり,広く使用されているが,多くの発生国では本病を制圧するまでには至っていない.アジアでは,2019年に中国でLSDが発生して以降,東南アジアおよび東アジア諸国で発生が継続しており,我が国でも2024年11月に国内初発例が福岡県で確認された.本年1月以降(6月20日現在まで),国内での新たな発生は報告されていないが,周辺国では依然として流行が継続していることから,再侵入のリスクは引き続き高いと言える.
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© 2025 日本ウイルス学会
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