抄録
本邦に感染者の多いヒトT細胞白血病ウイルス1型(human T-cell leukemia virus type I: HTLV-1)は,非常に予後不良な白血病である成人T細胞白血病(adult T-cell leukemia-lymphoma: ATL)を引き起こす.ATLに対する新規治療法の開発は本邦が果たすべき重要な使命である.我々は,ウイルス学的アプローチにより,HTLV-1の発がん機構に立脚したATLの新規治療標的の同定および治療法開発を進めている.今回紹介する研究では,HTLV-1に感染した細胞(非腫瘍細胞)と白血化した腫瘍細胞を比較し,腫瘍細胞に特徴的で重要なウイルス因子と宿主シグナル経路との新たな関連性を見出した.これらの成果は,治療選択肢が限られているATLに対する新たな治療法開発に繋がる重要な知見である.