VIRUS
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日本腦炎ウイルスの赤血球凝集反応 (第4報) 脂肪溶劑抽出による影響
波多野 基一森 亘敬
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1954 年 4 巻 2 号 p. 147-155

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抄録

脂肪溶剤中石油エーテル, リグロイン, エチルエーテル, アミルアルコール, トルオール, ピリヂン, アセトン, ベンゼン, クロロホルム, 二硫化炭素, 四塩化炭素の11種のもので田中株, 中山株, 正常マウス脳の10,000-12,000r.p.m. 30分遠心沈上清につき低温で直接乃至は凍結乾燥後抽出してニワトリヒヨコHAを検討し同時にCf抗原性を比較し次の如き結果を得た.
1) 直接抽出ではエーテル, アミルアルコール (ピリヂン, アセトンは行わない) の外は非特異的ニワトリ, 特異的ヒヨコHAin何れもやゝ減少さすが猶相当残つて居た.
2) クロロホルム直接抽出では特異的ヒヨコHAinの減少は少いが非特異的ニワトリHAinの減少度が他のものより多かつた. この場合にスピンコ超遠心機でヒヨコHAinは23,0000r.p.m. (Average ca. 33,000g) 60分で完全に沈降するがそのCf抗原性は猶相当に残存して居る事を確めた.
3) 凍結乾燥後抽出した場合はアミルアルコール, ピリヂン, 四塩化炭素, トルオールの外は特異的ヒヨコHAinに影響する事少く非特異的ニワトリHAinを著明に減少低下せしめたがCf抗原性は充分残存して居た. 之に反し上の4種のものはHAinを両者何れも強く低下せしめ同時にCf抗原性にも減少乃至抗補体作用を見るに至つた. 但しトルオールだけはCf抗原性に他のものと比し差がなかつた点やゝ趣を異にして居た.
4) 凍結乾燥後ベンゼン, クロロホルム, エーテル, アセトンを組合せ連続抽出を行つたが結果は之等各単一抽出の場合と同じであつた.
5) 以上の抽出は何れでも高温で抽出するとHAinは何れも陰性となつたので操作はすべて低温 (10℃以下) で行わなければならなかつた.
6) 4) 及び2) に於ける抽出ウイルス液の特異的ヒヨコHAinをトリプシン, カルボール, ホルマリンの作用で不活化させ又ヒヨコ血球で吸収して消失せしめてCf抗原性を見たが対照の無処置と殆ど変りがなかつた.
7) 以上の綜合として日本脳炎ウイルス感染マウス脳の特異的ヒヨコHAinはウイルス粒子自身とは異るもので又lipid HAらしい正常マウス脳の非特異的ニワトリHAinとも違うとの推定を更に確め得た.*
本篇の要旨は昭和28年5月第一回日本ウイルス学会に発表した.
本実験中スピンコ超遠心機の使用に際しては伝研沢井芳男博士並びに田中光氏両氏の御好意に授かつた. 此処に厚く感謝の意を表します.
終りに川喜田教授の御指示と御校閲を深謝し又桑田助教授の有益なる御教示にも厚く感謝します.

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© 日本ウイルス学会
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