抄録
大腸菌雄株で特異的に増殖するδAファージの精製と性質の検討を行なつた。
δAファージは形態的にはせんい状で, 直径約6mμ, 長さ約830mμの細長いファージで, 粒子量1.7×107を示す。
ファージは46Sの沈降定数を示し, CsCl中で密度1.30となり, 分子量1.7×106の一本鎖DNAを約10%含む。
DNAの塩基組成の検討を行なつたところ, アデニン:グアニン:シトシン:チミン=25.7:21.2:20.0:33.1であつた。
その結果, 形や大きさ, 核酸含量, CsCl中での密度塩基組成などの性質が今まで報告されたfd, f1, M13などと似かよつていることがわかる。