ウイルス
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センダイウイルス遺伝子操作系の確立と展開
加藤 篤
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1997 年 47 巻 2 号 p. 133-144

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抄録

センダイウイルス (Sendai virus, SeV) のゲノムを模したミニゲノムRNAの転写, 複製過程の詳細な検討の結果, 全長SeVゲノムcDNAからウイルスが生成できるうになった。感染性 (infectious, インフェクシャス) cDNAの誕生である。この技術を利用し生成したV蛋白質欠損SeVの解析から, V蛋白質が培養細胞では非必須であるが, 個体での病原性発現にとっては必須蛋白質であることが判明した。また, 生ワクチン候補株の弱毒性を支配する既知の配列をSeVゲノムcDNAに導入し, 計画的に弱毒化することができた。さらに, SeVゲノムに新たな転写ユニットを付加し, 異種遺伝子を発現できるようになった。こうして, 人為操作を施したウイルスの計画的生成はウイルス学とその応用研究の両面に新たな方法を提供できるようになった。

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