植物レオウイルスとしては初めてイネ萎縮ウイルスの全dsRNAゲノムセグメント (S1-S12) の一次構造が明らかになった。それぞれのセグメントは両末端の保存配列, 保存配列に隣接する逆反復配列をもっている。S1-S11は単一のORFを, 一方, S12は3つのORFを保有する。予想される翻訳産物が感染イネおよび感染ヨコバイ中に同定された。S1, S3, S5, S7がコア蛋白質 (P1, P3, P5, P7) を, S2, S8が外殼蛋白質 (P2, P8) を, S4, S6, S9-S12が非構造蛋白質 (Pns4, Pns6, Pns9-Pns12) をコードすることが明らかとなった。P1はRNA依存RNA合成酵素, P5はNTP結合蛋白質 (推定グアニル酸転移酵素), P7は核酸結合蛋白質であり, P1, P7は粒子中でゲノムセグメントと結合していることが明らかとなった。これらのコア蛋白質はウイルスRNAの複製に関与するものと考えられる。非構造蛋白質の機能については不明な点が多いが, Pns4が微細管封入体を構成する核酸結合蛋白質であること, Pns10が鞘状封入体蛋白質であること, Pns12が感染細胞内でリン酸化を受けること等が明らかとなった。感染性核酸-宿主細胞感染系の早急な確立が, 各ゲノムセグメントの機能分担の更なる解明に繋がるものと思われる。
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