抄録
循環器の先天異常を示したウシ720例中に無脾3例,低形成脾臓6例,2個の脾臓4例および1個の分葉脾8例,計21例の脾臓の先天異常が認められた。これらに文献例を加えた脾臓の先天異常例の解剖学的特徴について検索した。無脾症の1例,脾低形成症の2例および脾臓が2個存在したものの3例で内臓心房不一致が認められた。無脾症のウシはヒトの無脾症候群に類似した解剖学的特徴を示していた。脾低形成症のウシでは腹部内臓の位置異常,非対称性器官の対象性発育および合併心血管奇形は無脾症候群のものより軽度であった。2個の脾臓が存在したウシは腹部内臓の位置異常と後大静脈奇静脈結合を示す傾向が見られた。分葉脾を示したウシは後大静脈奇静脈結合を示す傾向が見られた。