動物の循環器
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原著
ウシの左前大静脈の解剖学的検討
村上 隆之
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2008 年 41 巻 1 号 p. 1-8

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抄録
宮崎大学で剖検されたウシ7,620例中の76例(1.0%)に完全型左前大静脈が認められた。他の施設から提供された13例を含む89例の完全型左前大静脈89例中82例は重複前大静脈,7例は右前大静脈欠損であった。これら重複前大静脈82例のうち78例の左前大静脈は冠状静脈洞を介して右心房に流入していた。3例は冠状静脈洞を欠損し,左前大静脈は左側の心房,右前大静脈は右側の心房に流入していた。1例は左前大静脈が流入した冠状静脈洞は左右の心房に開口していた。左前大静脈のみが存在した7例中の4例では左前大静脈は左側位の形態学的右心房に流入し,3例では左前大静脈は冠状静脈洞を介して右側位の形態学的右心房に流入していた。剖検したウシの7,620例中135例(1.8%)に部分型左前大静脈が認められた。そのうち130例では左肋頚静脈が左奇静脈に合流して冠状静脈洞に流入していた。2例では左肋頚静脈と左内胸静脈の共通幹が,他の2例では左内胸静脈が,それぞれ左奇静脈に合流していた。1例は左奇静脈欠損で,左肋頚静脈が直接的に冠状静脈洞に流入していた。心房逆位,右大動脈弓,冠状静脈洞欠損および頚部逸所心には左前大静脈の合併が多く認められた。
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© 2008 日本獣医循環器学会
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