2017 年 50 巻 1 号 p. 1-5
5カ月齢,雌,体重1.2 kgのトイ・プードルが,X線検査における心臓拡大を主訴に来院した。身体検査では著変を認めなかったが,心エコー図検査において肺動脈内に連続性に短絡する軽微な血流(圧較差118.7 mmHg)が確認され,動脈管開存症と診断された。臨床徴候,心雑音や血行動態に変化が認められなかったため,短期間内に動脈管の自然閉鎖が予期された。その後の経過観察において,短絡血流は左心拡大や右心肥大を伴わずに漸減し,2カ月後に予期したとおり消失した。本症例は,自然閉鎖を予期することが可能であった動脈管開存症と考えられた。