動物の循環器
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総説
血圧の生理学
勝田 新一郎
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2019 年 52 巻 1 号 p. 1-10

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抄録

循環系は,心臓のポンプ作用により高い圧をかけて血液を全身の組織に送るために必要不可欠である。血圧とは,心臓から駆出された血液が血管壁を押す圧力であり,心臓の収縮・弛緩に伴う変化を連続的に記録したものが圧脈波曲線である。血管は,弾性動脈,筋性動脈,小・細動脈,毛細血管,小・細静脈,静脈,大静脈に分類され,それぞれの機能を発揮するために適した構造をなしている。血圧は,心機能(心収縮力や心拍数など),血管壁の伸展特性,末梢血管の緊張度(末梢血管抵抗)などを反映しており,さらに,遺伝的素因や環境因子,ストレスなど様々な因子にも影響される。血圧は,低すぎると末梢からの血液需要に十分応えられず,高すぎると心臓,脳,腎臓などの重要な臓器に重篤な障害を与えうる。血圧測定を行うことで,心電図検査や心エコー図検査では得られない血管や末梢血行動態の状態も推定することができ,高血圧に伴う臓器障害の予測や治療効果の評価などに非常に有用である。

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© 2019 日本獣医循環器学会
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