2025 年 58 巻 2 号 p. 129-133
雑種猫,1か月齢,雄,体重600 gが,呼吸促迫と食欲不振を主訴に来院した。胸部X線検査および心臓超音波検査により右房および右室の拡大,三尖弁壁側尖の運動性低下と異形成が疑われ,三尖弁異形成(tricuspid valve dysplasia: TVD)と仮診断した。ピモベンダンおよびフロセミドによる内科的治療で一時的に症状は改善したが,第21病日に急性増悪し死亡した。剖検では,著しく増幅・伸長した大乳頭筋が腱索を介さずに三尖弁と直接接合し,右室内腔を縦方向に二分しており,重度の乳頭筋異常を伴うTVDと診断された。本症例のような幼齢かつ重度のTVDは外科的介入の適応が低く,予後不良であることから,生前に多角的な画像評価による早期診断と飼い主への十分な説明が重要であると考えられた。