1993 年 26 巻 2 号 p. 71-77
心雑音が聴取された6カ月齢のゴールデン・レトリバー種に対し, 心エコー検査を行った結果, 異常筋束が右室腔を二分している像が観察されると同時に乱流を示す血流波形が記録された。心カテーテル検査においても右室流入路と流出路間に5.5mmHgの圧較差が確認された。このことから,本症例は右室二腔症と診断された。
さらに本症例を9カ月齢時, および1歳齢時にドプラ心エコー法を用いて再検査を行ったところ, 右室流出路における血流速度は経時的に増加し, 右室腔内の狭窄程度が増強する傾向が認められた。このことから本症例の病態は, 進行性であると考えられた。