動物の循環器
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26 巻, 2 号
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  • 中田 義禮, 佐村 恵治, 宮沢 英男, 近藤 秀男, 成瀬 信次, 木川 孝, 鈴木 順, 松本 浩良, 菅野 茂
    1993 年 26 巻 2 号 p. 49-64
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/09/17
    ジャーナル フリー
    高カルシウム血症における循環器系の病態生理の一端を明らかにする目的で, ペントバルビタールナトリウム麻酔下のビーグル犬にCaCl2を2時間にわたり持続的に静脈内投与し, 投与中から投与後に至るまでの血清電解質濃度や心電図, 血圧, 体温に現われる経時的変化を観察した。
    雄のビーグル犬4頭 (12~19カ月齢, 体重9.1~12.3kg) に, 2週間以上の間隔をおいて, CaCl2 60, 120および240mg/kgを, infusion pumpを用いて0.7ml/minの割合で2時間にわたり静脈内持続投与を行った。
    なお,対照例として0.9%NaClを静脈内投与した。
    1. CaCl2持続投与中の血清カルシウム濃度は, 投与量に比例して, 持続投与中は徐々に増加した。血清カルシウム濃度が最も高かったのは, 240mg/kg投与例で持続投与終了時に 23.1mg/dl を示し, 投与前値の2.3倍となった。投与終了後, 緩やかに減少し, 24時間後に投与前値まで回復した。また, CaCl2持続投与により血清ナトリウム濃度は血清カルシウム濃度とは逆に有意な低下を示した。一方, 血清カリウムおよび血清クロライド濃度については,CaCl2投与による影響はほとんど認められなかった。
    2. QT間隔について心拍数100を基準にして補正した QTc100 で比較すると, 対照例に比べて投与終了後1時間まで軽度の短縮がみられた。QRS群持続時間およびPR間隔は逆に延長する傾向にあった。また, ST分節は, 用量依存的に上昇する傾向がみられた。一方, P波振幅, R波振幅, S波振幅およびT波振幅には, CaCl2投与による影響はほとんど認められなかった。
    3. CaCl2 投与により心拍数は高用量例で持続投与後半および投与終了後約1時間まで対照例に比べて減少する傾向にあった。血圧は, 対照群と比べて明らかな相違を示さなかった。体温およびヘマトクリット値については, CaCl2溶液投与により対照群と比べて投与終了後の回復が遅い傾向にあった。
    4. 対照のNaCl投与例では, 投与終了3時間後にはほぼ投与前と同じ覚醒状態に戻ったが, CaCl2投与群は, 投与終了3時間後でもCaCl2 60および120mg/kg投与例の動きが鈍く, 240mg/kg投与例ではまだ昏睡状態にあり, 投与終了6~8時間後になって覚醒状態となった。
  • 陰山 敏昭, 澤 邦彦, 若尾 義人, 武藤 眞, 渡辺 俊文, 宮田 雄吉, 下山 和哲, 鈴木 立雄, 高橋 貢
    1993 年 26 巻 2 号 p. 65-70
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/09/17
    ジャーナル フリー
    犬の僧帽弁閉鎖不全症 (MR) は小型犬に多く認められる傾向にある。そこで本邦で飼育頭数の多いマルチーズのMRの発生状況について疫学的検討を行った。対象は1986年1月より1991年1月の5年間に来院したマルチーズのうち, 生存例392例と死亡例68例の計460症例について検討を加えた。診断方法は聴診において僧帽弁口部に最強点を有する収縮期逆流性雑音の聴取された症例に対して, 単純X線検査あるいは断層心エコーでMRを診断した。その結果, 症例数に雌雄差は認められなかった。聴診上, 収縮期逆流性雑音が聴取された症例は全症例の23.5%であり, 心雑音症例の97%がMRと診断された。MR症例における雌雄比は1 : 1.4と雄に多く発生する傾向が認められた。年齢との関係に関しては, 心雑音が最初に指摘された年齢は5歳齢が最も早かったが, 最多聴取年齢は9歳であった。また, 死因に関しては, 心不全で死亡した割合は雄では54%, 雌では32%であり, 心不全で死亡する割合も雄の方が高い傾向が認められた。
  • 三品 美夏, 若尾 義人, 渡辺 俊文, 中山 智宏, 上地 正実, 高橋 貢, 川畑 充
    1993 年 26 巻 2 号 p. 71-77
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/09/17
    ジャーナル フリー
    心雑音が聴取された6カ月齢のゴールデン・レトリバー種に対し, 心エコー検査を行った結果, 異常筋束が右室腔を二分している像が観察されると同時に乱流を示す血流波形が記録された。心カテーテル検査においても右室流入路と流出路間に5.5mmHgの圧較差が確認された。このことから,本症例は右室二腔症と診断された。
    さらに本症例を9カ月齢時, および1歳齢時にドプラ心エコー法を用いて再検査を行ったところ, 右室流出路における血流速度は経時的に増加し, 右室腔内の狭窄程度が増強する傾向が認められた。このことから本症例の病態は, 進行性であると考えられた。
  • 村上 隆之, 萩尾 光美
    1993 年 26 巻 2 号 p. 78-81
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/09/17
    ジャーナル フリー
    ウシの奇形心329例中3例 (0.9%) に DOLV が認められた。3例とも内臓心房位正位, 房室一致で, 左右の心室はよく発達していた。症例1と2では大動脈弁下 VSD と肺動脈狭窄が, また症例3では両大血管下 VSD と大動脈縮窄が存在していた。
  • 島村 努, 本間 朗, 松口 康弘, 内海 晶彦, 石井 三都夫, 遠藤 正司, 町田 登
    1993 年 26 巻 2 号 p. 82-88
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/09/17
    ジャーナル フリー
    Clinical examination of a two-month-old foal revealed evidence of progressive heart failure associated with atrioventricular valvular insufficiency and atrial fibrillation. Atrial fibrillation is rarely reported in foals. This report describes the clinical, electrocardiographic, echocardiographic, and necropsy findings in the case.
  • 1993 年 26 巻 2 号 p. 89-93
    発行日: 1993年
    公開日: 2009/09/17
    ジャーナル フリー
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