動物の循環器
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コンピューター解析による実験用小型げっ歯類の心電図計測値に関する研究
I.マウスおよびラット
内山 陽介桑原 正貴局 博一菅野 茂
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1994 年 27 巻 1 号 p. 19-32

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抄録
実験動物として汎用されている小型げっ歯類のうち, 今回はマウスおよびラットを対象として, 出生直後 (0日齢) から成熟期 (90日齢) に至る発育過程における心拍数および心電図波形の変化を比較検討した。
1) 心拍数の推移
マウスおよびラットのいずれも出生直後から21日, 30日齢までは漸増し,それ以降はやや減少傾向を示して推移した。
2) 興奮伝導時間の推移
PR間隔およびQT間隔は21日齢ないし30日齢頃までは加齢にともなって短縮する傾向を示し, その後はほぼ一定に推移した。QRS持続時間は加齢によるごく軽微な延長を示すに留まった。また, RR間隔とPR, QT間隔との問には有意な正の相関関係が認められた。
3) 振幅の変化
P, R, S, Tのいずれの棘波の振幅についても出生後, 加齢にともなって増高し, 21日齢前後に最高値に達した後は徐々に減高する傾向を示した。
4) 平均QRS電気軸の推移
両動物種とも生後の発育に従って右軸方向から左軸方向に偏位する傾向を示した。
5) ST-T部分の変化
両動物種においても新生仔期には明瞭なST-segmentが認められたが,成長にともなって次第に消失した。マウスでは14日齢で完全に消失し, ラットでは, 21日齢前後にST-segmentが不明瞭になったが, ST-junctionの形で引続き残存する個体も観察された。
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© 日本獣医循環器学会
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