動物の循環器
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サラブレッドにおける洞房結節動脈および房室結節動脈の走行
桐生 啓治中村 孝町田 登向井 真
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1994 年 27 巻 2 号 p. 60-69

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抄録

10頭のサラブレッドに死後冠状動脈造影法を施し,ゼロラジオグラフィーと組織学的検索によって洞結節および房室結節,洞結節動脈および房室結節動脈の位置および走行を明らかにした。
洞結節動脈は冠状動脈の心房枝から二元性の血液供給を受けていた。一つは左冠状動脈回旋枝から発するものであり,他は右冠状動脈より発していた。この二通りの動脈による冠状動脈問吻合は右心房の外側前部遊離壁部に位置する洞結節内に認められた。さらに,洞結節動脈を含む心房枝は房室結節領域に細い分枝を出していた。一方,房室結節もまた,左右冠状動脈両方の動脈分枝が関与していた。即ち,房室結節動脈は左冠状動脈の旁円錐室間枝,右冠状動脈の回旋枝および洞下室間枝の各々に由来する分枝動脈から成り立っていた。房室結節領域の血液供給は左冠状動脈の旁円錐室間枝,右冠状動脈の回旋枝および洞下室間枝からの房室結節動脈,および洞結節動脈由来の心房枝による三元性の動脈分布として観察された。この三通りの動脈は房室結節にて冠状動脈間吻合を形成していた。今回の検索ではサラブレッドにおいて結節間伝導路に相当する特殊心節線錐は見出されなかったが,洞結節へ血液供給し,心房内を走行する動脈(心房枝)の走行は人における結節間伝導路のそれに類似していた。

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© 日本獣医循環器学会
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