抄録
就労を目的とした職業個性の把握のために行われる職業評価法としてマイクロタワー法などをあげることができる。これらの評価法の多くはワークサンプル手法を用いており, クライアントの職業適性を総合的に把握するという効果を有している。一方, 産業構造の変革や高度技術革新により職場にはOA (OfficeAutomation; オフィスオートメーション)化・FA (Factory Automation;ファクトリーオートメーション)化の波が押し寄せ, ME (Micro Electronics) 機器操作作業が従来の手作業にとって替わろうとしている。そのため, ワークサンプル手法により作成された評価法の一部を変更・追加する必要がでてくるものと考えられる。そこで本論文では, IE (Industrial Engineering; 経営工学) 分野で用いられているWorkStudy (作業研究) 手法を用いて, キーボード操作作業を対象にした作業遂行能力の評価手法について提案した。また, この評価法を用いて実際に脳性麻痺者19名を対象に実施した。さらに, 障害等級・病型・ADL評価といった操作能力に影響を与えると推測される属性をもとに測定結果の検討も行った。その結果, WorkStudy手法を用いた職業評価法を用いることにより, 細かい職務・作業に対する能力を把握するのに有効であることが判明した。