職業リハビリテーション
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知的障害者の個別福祉プログラムにおける就労目標を決定するうえでの問題点
鈴木 良子
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1999 年 12 巻 p. 16-22

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抄録

東京都ら身障害者福祉センターの通所訓練室を利用した103名の軽・中度の知的障害者に、個別福祉プログラムを策定した。本プログラムを策定するにあたり、評価結果に基づいて就労目標を提案したが、就労目標が一致したグループと一致しなかったグループとに分けられた。一致しなかったグループにおいては、本人・保護者・関係機関の主張とセンターの主張とが一致せず調整に時間を要した。本グループは41名であったが、就労目標が一致したグループは62名であった。両グループの内容を比較検討するとともに、就労目標が不一致となった41名のグループの問題点を類型別に整理し、問題の所在を明らかにした。その結果、評価結果の情報伝達が十分にいきわたらなかったことや、保護者あるいは関係機関の障害受容が十分でなかったこと、及び知的障害者を取り巻く労働状況などにたいする社会環境への認識の甘さ、などが主因のように考えられた。知的障害者の進路の策定においては、保護者や関係機関に対する啓発及び評価結果の納得いくまでの説明が重要であることが分かった。また、問題を調整し解決するにあたり、「就労支援調整委員会」のような第三者の機関の設置を提案した。

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