抄録
平成15年の社会福祉基礎構造改革により措置制度が利用制度へ移行される見込みである。しかし、実際には利用制度に向けた取り組みは立ち遅れている。
本研究では、名古屋市総合リハビリテーションセンターが厚生省から委託を受けた「身体障害者ケアガイドライン試行事業」(平成8年度) の中の職業リハビリテーションを含めた潜在的なニーズを持った事例をもとに、利用者主体のサービス提供のあり方について検討した。
その結果、ケアマネジメントの手法の有効性、現行制度の利用のしにくさ、サービス内容をシステム化するためのいくつかの視点が明らかとなった。
利用制度において利用者主体のサービスを提供するためには、利用者の多様なニーズを洞察しながら総合的に援助を提供すること、またサービス内容を明確化し、外部からも客観的に評価できるようなシステムを構築することによってサービスの質と透明性の確保をはかることが必要である。