抄録
作業場面において大声を出したり、独り言や独り笑い等の不適切行動が多発した1名の知的障害者を対象として、自己制御力を促す指導を試みた。対象者の不適切行動の主たる要因として、作業中にテレビ番組の内容を想起することが考えられた。これらを抑制するために仕事の約束を設定し、自己教示、自己点検について指導した。指導終了後の評価の結果、作業行動は指導前より早く、ミスの少ないものへと改善された。そして、明らかに目立つ不適切行動は出現しなくなった。この改善された状態は3ヶ月後まで維持されていた。しかし不適切行動のなかで、独り言だけは指導後も出現し続けた。