職業リハビリテーション
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精神薄弱者授産施設における企業への就職に向けての対応
就労率の高い施設についての事例調査研究
渡辺 明広
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1993 年 6 巻 p. 24-31

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抄録

精神薄弱者授産施設は訓練機関と福祉的就労機関としての2つの施設機能を備えていると考えられている。だが, 授産施設からの就労率はわずか2%程度で, 就職のための職業訓練的機能は発揮されていない。
そこで, 授産施設の職業訓練的機能について, 比較的就労率の高い6つの授産施設における, 一般就労への移行の支援システムの実態を把握し, さらには課題を検討することを目的に指導・教育の視点からの聞き取り調査を行った。その結果, 就労率の高い施設に共通する事項として, 次の知見が得られた。(1) 入所の当初から, 授産訓練の後には就職させる方針を本人や保護者に示している, (2) 職場実習を中心に進路指導が充実している, (3) 地域に働く場があり, 施設が地域に密着した取り組みをしている, (4) グループホーム等の生活の場が保障されている, (5) アフターヶアが充実している, (6) 在籍期間に有期限制を採っている施設の地域には, 就職できなかった者の退所後の受け皿として小規模作業所等がある。

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© 日本職業リハビリテーション学会
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