抄録
精神薄弱者授産施設からの就職率はわずか2%程度で, 就職のための職業訓練的機能は発揮されていない。前回の報告を踏まえ, 就職者の比較的多い授産施設における一般就職への移行の支援システムについて, K授産施設の事例を通して, 指導・教育の視点からの資料収集と聞き取り調査を行った。調査の結果, K授産施設の対応は次の4点にまとめることができる。(1) 利用者のライフサイクルを見通し, いつまでに一般就職させたいか, 目標を立てている。(2) 一般就職への活動の発端は, 利用者の意思の発現が尊重されている。(3) 職場実習に見られるように, あらゆる制度を使って, 就職が目指されている。また就職 (実習) 指導が充実している。重複障害者や職業的重度者に対しては, 実際の就労の場で, 働きながら訓練するという考えが実践されている。(4) アフターケアも含めて, 一般就職に向けての必要な援助は何でもする, という施設と職員の積極的, 献身的な姿勢がある。