抄録
平成4年7月, 障害者の雇用等に関する法律の一部が改正され, 精神障害回復者を雇用する事業主に対し助成金が給付されるようになる等, 制度的には大きな改善がなされた。しかし一方では, 利用者が職場紹介により実習に入っても, その就労に対する持続力の低下や対人関係の障害により中止となることが多く, 精神障害回復者の就労に向けてのこれらの制度が十分に活用できていない現状を痛感している。我々はこの要因の一つに, 後述するような就労を試みるまでの治療過程にも問題があると捉らえ, 就労を目指す障害者のための治療プログラムとして, 新たに院内職親制度を, 導入し実施した。今回はこの制度を紹介し, 事例の経過も加えてその有効性などを考察したい。