職業リハビリテーション
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精神障害者のための「病院一体型大規模職親制度」の職業リハビリテーションとしての意義
高山 大起山口 竹千代
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1994 年 7 巻 p. 33-40

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抄録
精神保健法の改定以来, にわかに, 精神障害者の「社会復帰」と「人権回復」が叫ばれ, 精神科医療でもリハビリテーションが「就労援助」(職親制度の実態調査19) や「デイ・ケア」(SSTの積極的活用) など, いわば各論的に展開している。菱山は精神分裂病に関する「トータルリハビリテーション」の視点から, (1) 障害を可能な限り改善する活動, (2) 障害と共存し得る生活技術を獲得させる活動, (3) 障害を社会的不利にさせない活動として総括している。われわれは, 一民間精神病院が29年間にわたり独自に職親を開拓し, 今日30カ所以上の一般事業所をもつ職親制度を確立して精神障害者, 特に分裂病性障害者の「生活障害」の改善に職業リハビリテーションを活用している実態を調査検討した。その結果, (1) 全病院的規模の集団力動を活用し, 「対人協調」を視点にしたホスピタリズムの防止・改善を図ることの大切さ, (2) 職親事業所の「場」を活用しての就労訓練を通して, 社会性 (就労生活技能) の向上をより錬磨する必要性, (3) 精神障害者のひたむきな人柄を正当に評価する職親の存在の重要性, 等が明かにされた。
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© 日本職業リハビリテーション学会
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