抄録
下水の嫌気好気活性汚泥法から生じる余剰汚泥は,P やK を豊富に含む。この余剰汚泥を無酸素または嫌気培養することで,汚泥中のP とK の一部を溶出した後,機械濃縮後の分離液を採取した。そのろ液は濃度が数十mg/L 程度のP,K,NH4-N を含み,それを供給液とした電気透析によって,目標P 濃度を4.4 g/L(P2O5 として1%)以上として肥料元素類の濃縮を試みた。供給液と濃縮液の体積比を10:1(10 倍)とし,電極液や濃縮液の組成を変えて検討した。その結果,pH を3 に調整した希硫酸を電極液と濃縮液として併用した条件において,肥料元素類の移動率はP で84.1%,K で92.1%,NH4-N で79.6% と高い値を示した。さらに,体積比を200 倍とした場合,肥料元素類の濃度はP で5.5 g/L,K で2.5 g/L,NH4-N で3.4 g/L に達し,濃縮液を菌体りん酸肥料として利用できる可能性が示された。総エネルギー消費量は10 kWh/kg-P,18 kWh/kg-K,16 kWh/kg-NH4-N であり,P に関しては他の研究結果よりも比較的低く,本技術の有効性が示唆された。