抄録
近年,沿岸レクリエーション用水域が,ふん便に由来する病原性微生物によって汚染されることが問題となっており,ヒトへの感染・発症リスクはそれほど低くないといわれている。本研究では,病原性微生物の存否の指標となるふん便指標細菌の汚染状況を把握するために,宮崎県青島海水浴場において,ふん便性大腸菌群(FC)と腸球菌(ENT)のモニタリング調査を実施した。調査期間は,梅雨期間および海水浴場開放期間を含む2010年5月~8月とした。青島海水浴場において,FC,およびENTはそれぞれBDL(Below detection limits:検出下限値以下)~1.4×103 CFU・100 mL-1,およびBDL~4.6×102 CFU・100 mL-1の範囲で検出された。約1ヵ月間実施した経日モニタリングでは,細菌数は降雨時に上昇し,両ふん便性細菌がUSEPAの基準値以上で検出される場合もあった。降雨時に高濃度で検出されたふん便性細菌は,降雨後の3日間で10 CFU・100 mL-1前後まで低下した。