抄録
代かき田植え期を対象として霞ヶ浦湖岸水田地帯における用排水機場からの排出負荷量調査を行った。揚水ポンプ稼働時には,地区排水は堤脚水路内で霞ヶ浦湖水と混合して水田地帯に揚水されるため,霞ヶ浦に流出しなかった。その結果,地区排水は循環利用されているが,揚水ポンプ停止時には数mm・s-1の微流速で流出していた。代かき田植え期の差し引き排出負荷量はT-Nで-0.06 kg・ha-1・d-1,T-Pで-0.003 kg・ha-1・d-1であった。これらは灌漑排水システムの異なる地域と比較しても小さいことから本調査地区の循環利水型灌漑排水システムが代かき田植え期の負荷削減に大きく貢献していることが明らかになった。循環利用を行わなかった場合の霞ヶ浦排水量を算出すると5.7倍に増加すると見積もられ,さらに,T-Pの負荷量は霞ヶ浦揚水よりも霞ヶ浦排水の方が大きくなると示唆された。