抄録
マイクロ波をエネルギー源とする粒状の無電極紫外線ランプ(microwave discharge electrodeless lamp:MDEL)を試作し,マイクロ波によるランプの自己点灯効率や1,4-ジオキサン水溶液の光分解速度から,水処理の性能評価を行った。粒状MDELを20個入れた循環式反応容器を用いて,ジオキサン水溶液を循環させながら分解し,濃度や全有機炭素量の減少から分解効率を検討した。比較実験として,棒状MDELや有電極低圧水銀ランプを用いた分解実験も同様に行い,MDELの表面積や消費電力の観点から,粒状MDELの優位性を明らかにした。一方,反応容器の通過回数に対するジオキサン水溶液の分解率を求めた結果,3回の流通で93%の分解率が観測された。分解時間に対するジオキサン水溶液のLC-MS測定から,分解中間生成物の分析を行った結果,初期分解メカニズムとして,·OHラジカルによる攻撃と,それに伴う環状構造の分解が進行することを明らかにした。