抄録
石炭灰造粒物を実海域の有機質底泥へ覆砂することによる,短期的および長期的環境改善効果について,施工後84日経過した大河漁港と施工後8年以上経過した馬島沖で,栄養塩類(溶存態無機窒素DIN,溶存態無機リンDIP)および硫化水素の溶出抑制効果,生物量の増加効果などで検証を行った。その結果,短期的に石炭灰造粒物によるDIN,DIP,硫化水素の顕著な濃度低減効果が認められ,長期的にDIP,硫化水素の濃度低減効果が示唆された。これは,短期的には吸着効果により,長期的には石炭灰造粒物により形成された空隙や生息生物による撹乱効果により,嫌気的環境が改善されたためと考えられる。特に,嫌気的環境が改善されたことによる,底生生物の種類数,個体数の増加は短期的にも長期的にも確認された。
また,石炭灰造粒物の覆砂による底泥からのDIN,DIPの溶出抑制は98%以上であることが大河漁港を対象としたデータから推算された。