水環境学会誌
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35 巻, 10 号
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原著論文
  • 中原 真哉, 平岡 喜代典, 山本 民次, 上嶋 英機
    原稿種別: 原著論文
    2012 年35 巻10 号 p. 159-166
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/10
    ジャーナル フリー
    石炭灰造粒物を実海域の有機質底泥へ覆砂することによる,短期的および長期的環境改善効果について,施工後84日経過した大河漁港と施工後8年以上経過した馬島沖で,栄養塩類(溶存態無機窒素DIN,溶存態無機リンDIP)および硫化水素の溶出抑制効果,生物量の増加効果などで検証を行った。その結果,短期的に石炭灰造粒物によるDIN,DIP,硫化水素の顕著な濃度低減効果が認められ,長期的にDIP,硫化水素の濃度低減効果が示唆された。これは,短期的には吸着効果により,長期的には石炭灰造粒物により形成された空隙や生息生物による撹乱効果により,嫌気的環境が改善されたためと考えられる。特に,嫌気的環境が改善されたことによる,底生生物の種類数,個体数の増加は短期的にも長期的にも確認された。
    また,石炭灰造粒物の覆砂による底泥からのDIN,DIPの溶出抑制は98%以上であることが大河漁港を対象としたデータから推算された。
ノート
  • 増木 新吾, 相崎 守弘, 坂本 勝弘
    原稿種別: ノート
    2012 年35 巻10 号 p. 167-171
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/10
    ジャーナル フリー
    本研究では三瓶ダム深層水中の溶存酸素量を現地計測結果から求め,面積当たり酸素欠損(AHOD)を計算し,得られたAHODとCornett & Riglerが示したAHOD予測式から得られた推定値を比較し,その適用の可能性を検証した。その結果,リンの見かけの沈降速度(v)を14m・y-1とした場合に推定可能であり,その誤差は-2~0.5%であった(n=2)。滞留時間が比較的短いダム湖においてもダム湖深層水の酸素欠損を推定可能であることが明らかとなった。
調査報告
  • 水島 康一郎, 笹瀬 聡之, 寺崎 誠, 新沢 丘, 大森 明利
    原稿種別: 調査報告
    2012 年35 巻10 号 p. 173-180
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/10/10
    ジャーナル フリー
    本研究では,ダム湖の親水性や景観に悪影響を及ぼす淡水赤潮の原因種となるPeridinium属のシストの分布の決定要因を探るために,冬季の早明浦ダム,富郷ダム及び各々の流入河川域において表層堆積物中のシスト量及び表層水の植物プランクトンの栄養細胞等を調査した。
    その結果,早明浦ダムでは同ダムへの流入河川である瀬戸川水域でシスト密度が高く,富郷ダムでは水位低下に伴って形成された河川の流入端でシスト密度が高かった。これは早明浦ダムでは,瀬戸川における調査時のPeridinium bipesの発生状況,濁度の空間分布の結果,栄養細胞からのシスト供給量がシスト分布に大きく影響していることが推察された。一方,富郷ダムでは,河川の流入端で高シスト密度であった要因として,水位低下に伴う流入河川の形成が上流域に堆積していたシストを押し流したため,シストが流入端に多く沈降,堆積したことが推察された。
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