抄録
大阪湾では,2004年から企業,大学,行政が連携した大阪湾再生水質一斉調査(以下,一斉調査)が毎年8月に継続して実施されている。一斉調査では,沖合の地点だけでなく,企業,大学等により護岸近くの地点においても,ほぼ同日に,統一された測定水深において水質測定が実施されている。本報告では,一斉調査の概要について述べるとともに,夏季の底層DO,表層CODの分布と気象条件との関係,湾奥~湾口部における窒素・リンの分布について示した。底層DO,表層CODは,湾奥部の海域で目標値を達成しておらず,未達成海域の分布や面積は気象条件により異なっていた。DIN,DIP濃度は,湾奥部の上層では,それぞれ0.34 mg·L-1,0.032 mg·L-1と植物プランクトンが十分に生産できる程度に存在しているのに対し,湾口部の上層では,それぞれ0.03 mg·L-1,0.008 mg·L-1にまで低下していた。