膜分離活性汚泥法(以下MBR)は,一般下水以外に,繊維,食品加工,石油精製
1, 2)等の産業廃水処理にも適用されつつある。これらの中には,油を使用,排水するケースもあり,前処理で十分に除去できない場合は,油分含有廃水をMBRで処理する必要がある。本検討では油分を添加した模擬廃水で,油種,濃度がMBR運転に与える影響をラボ試験で評価した。検討の結果,生分解性が高い油の場合,有機物負荷(BOD-SS負荷)が適当な範囲にあれば,膜がファウリングすることなく運転することが可能だった。一方負荷が高い場合,性状の悪化した汚泥もしくは分解されない残留油分が膜のファウリングを起こし,安定運転できないことがわかった。また,非生分解性の油について,動粘度の高い油が,短い期間で膜ファウリングを起こし,特に活性汚泥の上澄み油分濃度がMBRの運転に影響を及ぼし,これを制御することがファウリング抑制に重要であることを見いだした。
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