水環境学会誌
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35 巻, 12 号
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原著論文
  • 舛本 弘毅, 栗栖 太, 春日 郁朗, 古米 弘明
    原稿種別: 原著論文
    2012 年35 巻12 号 p. 197-204
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/10
    ジャーナル フリー
    溶ベンゼン分解微生物として推定されているSyntrophobacterales目細菌Hasda-Aとその類縁菌群を含む,嫌気条件でメタンを生成するベンゼン分解微生物群集積培養系について,有機酸の投与と培養温度の検討を行った。安息香酸,クロトン酸,フマル酸,酢酸をベンゼンと共に投与したところ,全ての場合で,有機酸の存在によって,ベンゼン分解の開始に遅れが見られた。しかし,Hasda-Aとその類縁菌群の菌数を維持できる可能性が示された。また,嫌気ベンゼン分解培養系の集積に成功した25℃から,中温メタン生成古細菌の増殖に適した37℃までの3℃ごと5段階で培養温度を検討したところ,31℃以下での培養は,34℃以上での培養と比べ,ベンゼンの分解速度を高く維持できることが示された。いずれの実験系においても,Hasda-Aとその類縁菌群の16S rRNA遺伝子コピー数とベンゼン分解に相関が見られた。
技術報告
  • 北中 敦, 間谷 聖子, 伊藤 世人
    原稿種別: 技術報告
    2012 年35 巻12 号 p. 205-210
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/10
    ジャーナル フリー
    膜分離活性汚泥法(以下MBR)は,一般下水以外に,繊維,食品加工,石油精製1, 2)等の産業廃水処理にも適用されつつある。これらの中には,油を使用,排水するケースもあり,前処理で十分に除去できない場合は,油分含有廃水をMBRで処理する必要がある。本検討では油分を添加した模擬廃水で,油種,濃度がMBR運転に与える影響をラボ試験で評価した。検討の結果,生分解性が高い油の場合,有機物負荷(BOD-SS負荷)が適当な範囲にあれば,膜がファウリングすることなく運転することが可能だった。一方負荷が高い場合,性状の悪化した汚泥もしくは分解されない残留油分が膜のファウリングを起こし,安定運転できないことがわかった。また,非生分解性の油について,動粘度の高い油が,短い期間で膜ファウリングを起こし,特に活性汚泥の上澄み油分濃度がMBRの運転に影響を及ぼし,これを制御することがファウリング抑制に重要であることを見いだした。
調査報告
  • 佐々倉 諭, 河崎 和文, 奥山 健司, 酒井 康彦, 矢持 進
    原稿種別: 調査報告
    2012 年35 巻12 号 p. 211-216
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/10
    ジャーナル フリー
    大阪湾では,2004年から企業,大学,行政が連携した大阪湾再生水質一斉調査(以下,一斉調査)が毎年8月に継続して実施されている。一斉調査では,沖合の地点だけでなく,企業,大学等により護岸近くの地点においても,ほぼ同日に,統一された測定水深において水質測定が実施されている。本報告では,一斉調査の概要について述べるとともに,夏季の底層DO,表層CODの分布と気象条件との関係,湾奥~湾口部における窒素・リンの分布について示した。底層DO,表層CODは,湾奥部の海域で目標値を達成しておらず,未達成海域の分布や面積は気象条件により異なっていた。DIN,DIP濃度は,湾奥部の上層では,それぞれ0.34 mg·L-1,0.032 mg·L-1と植物プランクトンが十分に生産できる程度に存在しているのに対し,湾口部の上層では,それぞれ0.03 mg·L-1,0.008 mg·L-1にまで低下していた。
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