抄録
アルコール発酵廃液はSSを多く含む高濃度の有機性廃水であり,嫌気性処理法による省エネルギー処理が望ましい。本研究は浸漬型膜分離メタン発酵法を用いたアルコール発酵廃液の連続処理実験を中温条件で4ヶ月間行い,容積負荷の変化による処理性能への影響及び連続運転が膜性能に与える影響を評価した。本研究で得られた最大容積負荷は12.4 kgCOD・m-3・d-1で,T-CODCr除去率は97.8%であった。特に6.0 kgCOD・m-3・d-1以下の低負荷運転では膜透過水のCODCr濃度が1,000 mgCOD・L-1以下と良好な処理水質が得られた。また高負荷運転の場合,Fe,Co,Niといった微量元素が必要であった。エアポンプによるバイオガスの散気と吸引停止時間を設定したポンプの稼働により,膜の逆洗浄と薬品洗浄なしに4ヶ月の連続運転が達成可能であった。膜圧の吸引停止時間における回復量とFluxは,10~16 gSS・L-1の汚泥濃度条件で50日間低下しなかったものの,4ヶ月長く連続運転を続けると,両方とも当初設定値の30%に低下した。