水環境学会誌
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35 巻, 3 号
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原著論文
  • 高橋 慎太郎, 周 培培, 若原 慎一郎, 李 玉友
    原稿種別: 原著論文
    2012 年35 巻3 号 p. 41-47
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/10
    ジャーナル フリー
    アルコール発酵廃液はSSを多く含む高濃度の有機性廃水であり,嫌気性処理法による省エネルギー処理が望ましい。本研究は浸漬型膜分離メタン発酵法を用いたアルコール発酵廃液の連続処理実験を中温条件で4ヶ月間行い,容積負荷の変化による処理性能への影響及び連続運転が膜性能に与える影響を評価した。本研究で得られた最大容積負荷は12.4 kgCOD・m-3・d-1で,T-CODCr除去率は97.8%であった。特に6.0 kgCOD・m-3・d-1以下の低負荷運転では膜透過水のCODCr濃度が1,000 mgCOD・L-1以下と良好な処理水質が得られた。また高負荷運転の場合,Fe,Co,Niといった微量元素が必要であった。エアポンプによるバイオガスの散気と吸引停止時間を設定したポンプの稼働により,膜の逆洗浄と薬品洗浄なしに4ヶ月の連続運転が達成可能であった。膜圧の吸引停止時間における回復量とFluxは,10~16 gSS・L-1の汚泥濃度条件で50日間低下しなかったものの,4ヶ月長く連続運転を続けると,両方とも当初設定値の30%に低下した。
  • 原田 宣男, 片峯 由裕, 李 富生, 廣岡 佳弥子
    原稿種別: 原著論文
    2012 年35 巻3 号 p. 49-56
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/10
    ジャーナル フリー
    長良川水系の河川水中の浮遊微生物と河床堆積物中の付着微生物に対して,グルコースと17β-エストラジオール(E2)を添加した回分式基質摂取試験を実施し,両基質の減少速度係数を,濃度に対する1次反応式に従うと仮定して評価した。結果,両基質の減少速度係数は,浮遊微生物では,全細菌密度の増加に伴う上昇傾向が見られ,本川の上流,中流に比べて下流が大きいことがわかった。一方,付着微生物では,全細菌密度との間に有意な相関は見られなかった。単位全細菌密度当りに換算した減少速度係数の範囲(h-1・cell-1・L)は,河川水では,グルコースは4.5×10-7~1.8×10-3,E2は2.7×10-7~7.0×10-4であり,河床堆積物では,グルコースは6.0×10-8~1.7×10-5,E2は1.3×10-7~1.9×10-5であった。また,河川水中の浮遊微生物は,E2よりもグルコースに対する分解能が高い微生物群集構造を有することが示唆された。
調査報告
  • 今井 志保, 川中 洋平, 土屋 悦輝, 尹 順子
    原稿種別: 調査報告
    2012 年35 巻3 号 p. 57-64
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/10
    ジャーナル フリー
    東京都内の水道水について,有機フッ素化合物(PFCs)である11種のペルフルオロアルキルカルボン酸類および5種のペルフルオロアルキルスルホン酸類を測定した。40地点のPFCsの総濃度は0.72~95 ng・L-1の範囲で,平均値は19 ng・L-1であった。最多検出地点では12種のPFCsが検出され,PFCs組成比を用いたクラスター分析の結果,都内の水道水は多摩地域と区部の二種類にほぼ大別できた。区部の水道水のPFCs組成比および濃度は類似しているのに対して,多摩地域の水道水の組成比および濃度にはばらつきがみられた。これは区部の水道水が表流水を原水としているのに対して,多摩地域では各浄水所において表流水に地下水を混合して原水としていることによるものと考えられた。諸外国のPFCsの指針値等と測定値を比較した結果,都内の水道水中の個々のPFC濃度は指針値等を下回った。
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