水環境学会誌
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調査報告
平成元年度から22年度までの沖縄県における地下水水質調査
宮城 俊彦
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2013 年 36 巻 4 号 p. 129-135

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抄録

沖縄県における地下水は,近年では,飲料用としての需要は減ってきてはいるものの,依然として住民の生活を支える上で重要である。地下水の水質については,水質汚濁防止法の規定に基づき常時監視が行われ,概況調査と継続監視調査で構成されている。沖縄県が行った平成22年度の継続監視調査では,砒素が7地点中4地点で環境基準値を超過,総水銀が3地点全て検出下限値未満,低沸点有機化合物(VOCs)が4地点で検出下限値未満または環境基準値以下,硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素が1地点で環境基準値以下であった。VOCsと硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の発生源については人為的汚染として解釈されたが,砒素及び総水銀については,調査の結果,自然由来であることが示唆された。砒素については,還元状態の地下水に土壌に含まれる鉄が溶出する際に鉄に吸着していた砒素が溶出するタイプ((1)タイプ)と,弱アルカリ性の地下水に接した際に鉱物中の鉄に吸着していた砒素が溶出するタイプ((2)タイプ)とに分けられた。総水銀については,断層に沿って地下深部から上昇してきた水銀蒸気による可能性が高い。平成元年度から22年度までの調査結果は,将来の沖縄県の地下水の水質を考える上で重要な参考資料となる。

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© 2013 公益社団法人 日本水環境学会
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