2024 年 61 巻 1 号 p. 40-43
αシヌクレイン(αS)病変が好発する系は分岐の豊富な細い軸索が広汎な部位に投射するという共通の構造背景を有する.分岐した軸索末端は外界との接点で,そこに豊富なαSは凝集し,軸索を逆行性に進展し細胞体にレヴィー小体を形成する.レヴィー小体病にみられる様々な症状が局在性に乏しいのは分岐した軸索という構造と関連する.軸索の分岐が最も顕著なのが自律神経系で,心臓交感神経末端の機能を反映するMIBGの心筋へのとりこみ低下は,レヴィー病変の存在を示唆する.レヴィー病変は脳幹下部に比較的多いが,脳幹下部から一様に病変が上行するという仮説に合わない剖検例は多く,Multifocal Lewy body diseaseととらえるほうが無理が少ない.さらにレヴィー小体がなくてもMIBG低下が見られるといった例外もある.臨床像と病理像を比較しながら診断精度を高め,より包括的な視点を模索する時期にはいっている.