水環境学会誌
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二枚貝類の保全に向けたナルトビエイ(Aetobatus flagellum)個体群モデルの開発と効果的な駆除方法の検討
横山 佳裕森川 太郎藤井 暁彦内田 唯史中西 弘
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2014 年 37 巻 3 号 p. 111-117

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抄録
二枚貝類の保全に向けた検討として,有明海等において食害影響を与えているナルトビエイの生態特性を組み込んだ個体群モデルを開発し,有明海で実施されているナルトビエイの駆除による貝類食害量低減の効果を試算した。さらに,食害量低減に効果が高い駆除時期・場所を検討した。その結果,ナルトビエイの生態特性等を考慮した個体群モデルにより計算した来遊期間中の総個体数は,現地調査に基づき推定された総来遊個体数と一致していた。現在,有明海において6~10月に実施されているナルトビエイの駆除は,駆除を行わない場合と比べて,貝類食害量を40%程度低減できていると個体群モデルによる結果から試算された。また,産仔前の6,7月に駆除を行うことにより,貝類食害量低減の効果が高くなることがわかった。さらに,この時期に有明海湾奥部に位置する福岡県・佐賀県海域で駆除を行うと,さらに効果が高まると考えられた。
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© 2014 公益社団法人 日本水環境学会
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