水環境学会誌
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37 巻, 3 号
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原著論文
  • 木戸 健一朗, 斉藤 直, 魚谷 律人, 桑原 智之, 相崎 守弘
    原稿種別: 原著論文
    2014 年37 巻3 号 p. 71-77
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/10
    ジャーナル フリー
    中海の細井沖浚渫窪地において,底泥酸素要求量(以下,SOD),栄養塩及び硫化水素(以下,H2S)の溶出速度をチャンバー実験法により検討した。また,浚渫窪地の一部を石炭灰造粒物で覆砂して溶出抑制効果を検証した。その結果,SODは最大で712 g·m-2·day-1,NH4-N溶出速度は最大で640 mg·m-2·day-1,PO4-P溶出速度は最大で103 mg·m-2·day-1,H2S溶出速度は最大で約12600 mg·m-2·day-1であった。実験期間中の石炭灰造粒物の覆砂による負荷削減効果は,SODが23%,H2S溶出速度が69%,NH4-N及びPO4-P溶出速度がそれぞれ87%,52%であり,貧酸素条件が長期間続く浚渫窪地でも石炭灰造粒物の覆砂効果が期待でき,溶出を抑制できることが明らかになった。
  • 栃本 博, 小杉 有希, 鈴木 俊也, 保坂 三継, 中江 大
    原稿種別: 原著論文
    2014 年37 巻3 号 p. 79-90
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/10
    ジャーナル フリー
    小笠原諸島の水道原水,貯水池水,沢水及び浄水場の処理水の溶存有機物(DOM)を親水性画分,疎水性酸及び疎水性中性物質に分画した。父島と母島の沢水,貯水池水及び水道原水中のDOMは,疎水性酸と親水性画分が主成分であった。総トリハロメタン生成能(TTHMFP)とそれに対する分画の寄与率は,DOMとその分画の割合とほぼ一致した。総ハロ酢酸生成能(THAAFP)への疎水性酸の寄与率は,TTHMFPへのその寄与率より高かった。父島の活性炭・凝集沈殿処理水と母島の凝集沈殿処理水のTTHMFP及びTHAAFPに対するDOMの各分画の割合または寄与率は,すべて親水性画分が最も高かった。原水中DOMの親水性物質の除去に有効な浄水処理法の採用により,処理水中のDOMを減少させ,浄水中の消毒副生成物のさらなる低減化が可能と考えられた。沢水と原水の主なDOMの重量平均分子量は,ともに1220~1390 g·mol-1と推定され,原水のDOMは貯水池に流入する沢水のDOMに由来することが明らかとなった。処理水のDOMの重量平均分子量は,630~970 g·mol-1であり,浄水処理によって低分子化していることが推定された。
  • 篠宮 佳樹, 山田 毅, 稲垣 善之, 吉永 秀一郎, 鳥居 厚志
    原稿種別: 原著論文
    2014 年37 巻3 号 p. 91-101
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/10
    ジャーナル フリー
    国内でも多雨地域にある四万十川源流の森林流域を対象に,大雨時のNO3-濃度形成過程について検討するとともに,大規模出水時も考慮して年間の硝酸態窒素(NO3--N)流出負荷量を評価した。試験流域(堆積岩,18.7 ha,モミ・ツガ天然林)で,月2回の定期採水と17回(総雨量18~289 mm)の出水調査を行った。NO3--N累加比負荷量の流量以外の説明変数として降雨前NO3-濃度が有効であることを示した。この変数を加えた修正ΣL-ΣQ法で求めた年間の硝酸態窒素流出負荷量は3~5 kg·ha-1·yr-1となり,年雨量,年流量に依存しなかった。この要因は大規模出水時に渓流水のNO3-濃度が顕著に低下し,累加比負荷量の増加が頭打ち傾向になるためであり,NO3-濃度の顕著な低下は渓流近傍から遠い斜面の下層や深層の地中水(極めて低いNO3-濃度)が大規模出水の初期を除き流出に大きく寄与するためと考えられた。
ノート
  • 古田 世子, 池谷 仁里, 池田 将平, 藤原 直樹, 岡本 高弘, 一瀬 諭, 馬場 大哉, 岸本 直之, 今井 章雄
    原稿種別: ノート
    2014 年37 巻3 号 p. 103-109
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/10
    ジャーナル フリー
    琵琶湖から採取した微生物群による緑藻Staurastrum arctisconの生分解試験を実施し,S. arctisconの細胞質および粘質鞘の生分解性について調べた。粘質鞘を除去したS. arctisconの生分解試験の結果,生分解試験200日後の細胞質POCの残存率は31%であり,初期POCの2-4%がDOCに変換された。一方,粘質鞘を含むS. arctisconの生分解試験では,生分解試験77日以降にDOCが安定し,粘質鞘を除去したS. arctiscon生分解試験との比較から,初期粘質鞘POCのうち29-35%がDOCとして安定して残存したことが示された。また,S. arctisconは粘質鞘から細胞の順番に2段階で分解され,粘質鞘の存在により細胞質の分解が遅延することも明らかとなった。さらに,蛍光標識したレクチンを用いて,S. arctisconの生分解過程における細胞の形態変化を経時観察した結果,Wheat germ agglutinin(WGA)によって染色された粘質鞘は,生分解試験21日後には染色されなくなった。しかし,生分解試験100日後の細胞が粘質鞘を保有していたことから,粘質鞘を構成する糖鎖には,易分解性と難分解性の糖鎖が存在していることが示唆された。以上の結果から,琵琶湖の微生物群で生分解された植物プランクトン由来の細胞質や粘質鞘などは,琵琶湖の粒子態有機物として存在しているだけでなく,溶存有機物の供給源として重要な役割を果たしている可能性が示された。
  • 横山 佳裕, 森川 太郎, 藤井 暁彦, 内田 唯史, 中西 弘
    原稿種別: ノート
    2014 年37 巻3 号 p. 111-117
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/05/10
    ジャーナル フリー
    二枚貝類の保全に向けた検討として,有明海等において食害影響を与えているナルトビエイの生態特性を組み込んだ個体群モデルを開発し,有明海で実施されているナルトビエイの駆除による貝類食害量低減の効果を試算した。さらに,食害量低減に効果が高い駆除時期・場所を検討した。その結果,ナルトビエイの生態特性等を考慮した個体群モデルにより計算した来遊期間中の総個体数は,現地調査に基づき推定された総来遊個体数と一致していた。現在,有明海において6~10月に実施されているナルトビエイの駆除は,駆除を行わない場合と比べて,貝類食害量を40%程度低減できていると個体群モデルによる結果から試算された。また,産仔前の6,7月に駆除を行うことにより,貝類食害量低減の効果が高くなることがわかった。さらに,この時期に有明海湾奥部に位置する福岡県・佐賀県海域で駆除を行うと,さらに効果が高まると考えられた。
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